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あるのは熱い陽射し それから強力な不在感
私は夏そのものだったような気がする

上映予定SCREENINGS

  • 10/8 – 12

    金沢・シネモンド
    10/8(土)舞台挨拶
    15:00〜上映後

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  • 10/8 – 14

    富山・ほとり座
    10/9(日)舞台挨拶
    12:00〜上映後

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  • 10/15 – 11/5

    渋谷・シアター・イメージフォーラム
    10/15(土)舞台挨拶
    21:15〜上映後

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  • 10/15 – 21

    名古屋・名古屋シネマテーク
    10/16(日)舞台挨拶
    15:15〜上映後

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  • 10/21 – 28

    横浜・シネマ・ジャック&ベティ
    10/21(金)舞台挨拶
    19:20〜上映後

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  • 10/22 – 27

    京都・京都みなみ会館
    10/22(土)舞台挨拶
    15:40〜上映後

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  • 10/22 – 11/4

    大阪・シネ・ヌーヴォ
    10/22(土)舞台挨拶
    19:10〜上映後

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監督インタビュー

~プロダクション・ノートに代えて~

イントロダクション/ INTRODUCTION

自殺した小説家と子どもたちをめぐる
愛の物語が字幕とともに語られる
現代の”サイレント映画”

物語は「N・P」という一冊の本から始まる。著者の高瀬皿男は48歳で自殺を遂げていた。97の短編からなるその小説に、未収録の98話目の存在が明かされる。その98話に描かれていたのは、実の娘に恋する男の話――。それを翻訳していた庄司もまた、自ら命を絶ってしまう。
ある夏、庄司の恋人だった風美は、高瀬が遺した二卵性双生児の姉弟、咲と乙彦と出会う。さらに、庄司の形見の98話目の原稿をねらう女(翠)も現れる。「N・P」によって結びつけられた4人の若者をめぐる特異な愛の物語が、鮮烈な夏の光の中で描かれていく。

吉本ばななの初期作品で、ファンも多い傑作長編『N・P』を、ベルギーを拠点とする映像作家リサ・スピリアールトが映画化。

主人公の加納風美を演じるのは、監督の実の妹でアーティストとして活動しているクララ・スピリアールト。風美と奇妙な友情を育む箕輪萃を演じるのは、振付家・ダンサーの川村美紀子。原作者・吉本ばななからは「この世に川村さん以上にリアルに翠を演じられる人はこれまでもこれからもいないと思う」と評された。
劇中、台詞は聞こえない。俳優たちには物語のメモを渡し、自分たちの言葉で解釈して自由に話をさせながら撮影。その後、映像を無音にし、状況音とノイズミュージックを後付けして、字幕とインタータイトルで物語るという独自の手法がとられている。

2020年7月にマルセイユ国際映画祭(FIDMarseille)国際コンペティションでワールドプレミア上映されて以降、イギリス、ドイツ、メキシコ、シンガポール、チェコ、オランダ、ベルギー、イタリアなどの国際映画祭に出品、日本ではイメージフォーラム・フェスティバル2021で上映され好評を博した映画『N・P』が、撮影地である金沢と富山で先行上映、そして1週後の10月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショーが始まる。

ストーリー/ STORY

ある夏の日本を舞台に、故・高瀬皿男の謎めいた小説『N・P』 に魅了された4人の若者が、その1冊の本によって結びつけられてゆく様子が描き出される。

翻訳と原作とはどう関係するのか? フィクションと現実とは? 人生は、どこまでが決められた物語として演出されたフィクションなのか? そして、登場人物の間でしばしば起こる近親相姦的な相互作用の本質とは何なのか?

語り手である風美は、翻訳家の戸田庄司と恋人同士であった。庄司が『N・P』を日本語に翻訳していた頃のことだった。

『N・P』は、アメリカで暮らした日本人作家・高瀬皿男による97話の自伝的短編集である。庄司はこの本の翻訳中に自殺した。未収録の98話目のストーリーは、高瀬の娘である翠との近親相姦を扱っているという。

庄司の自殺から4年後、風美は高瀬の遺した子供たちと出会う。まずは双子の乙彦と咲、それから異母姉の翠。翠は、社会的、倫理的、性的な規範を超えて生きていて、過去には実父・高瀬と関係を持ち、異母兄弟である乙彦とも恋仲になっている。3人は本の中の物語の、超現実的で閉ざされた世界に生きているかのようだ。そして彼らに寄り添う風美を通し、それぞれの脱出口を見つけようとしているようにも見える……。

キャスト/ CAST

1993年東京都生まれ。2009年より、父親の出身国であるベルギーへ留学。ゲントの美術大学LUCA School of Arts大学院修了。
7年間の絵日記を含むドローイングを出発点として、映像、アニメーション、壁画、刺繍、陶芸など表現メディアは多岐にわたる。個人または集団の文化的アイデンティティ形成におけるシンボルの役割、そこから読み取れる自然と人間の関係を主なテーマとしている。
精密な作風を特徴としながら、長さ8mの壁画(2018年ヘラールツベルゲン市)、高さ2,4mの陶像(2021年クノック ヘイスト市)や直径4mの陶鈴サウンドインスタレーション(2021年ゲント市現代美術館)など、大型作品も手がける。CAF賞2020では最優秀賞を受賞。副賞として開催した初個展「くららせきらら」では、同タイトルの画集をベルギーのMer.Booksより出版、発表した。日本とベルギーを行き来しつつ、現在はゲント市のアトリエを拠点に活動中。

箕輪翠 / Sui Minowa :

川村美紀子

1990年生まれ。16歳からダンスを始め、2011年より国内外で作品上演を重ねている。「どこからかの惑星から落下してきたようなダンス界のアンファン・テリブル」(Dance New Air 2014/石井達朗氏)とも紹介されるその活動は、劇場にとどまらず屋外やライブイベントでのパフォーマンス、映像・音楽制作、アクセサリー製作など多彩に展開。日本女子体育大学 舞踊学専攻卒。2013-16年度(公財)セゾン文化財団ジュニア・フェロー。2014年初演『インナーマミー』で、トヨタ コレオグラフィーアワード 2014「次代を担う振付家賞」及び「オーディエンス賞」、横浜ダンスコレクションEX2015「審査員賞」及び「若手振付家のための在日フランス大使館賞」受賞後、渡仏。フランス国立ダンスセンター・CCN/Rを拠点にパリ、リヨン、グルノーブル、マルセイユ、ル・アーブルにて半年間のレジデンスを行い「地獄に咲く花 (LA FLEUR ÉCLÔT EN ENFER)」を発表。

高瀬乙彦 / Otohiko Takase :

宮村周志

高瀬咲 / Saki Takase :

ヴァン=デ=ステーネ・サールチェ

原作/ ORIGINAL

原作:
吉本ばなな「N.P」
(角川書店出版)

©1990 吉本ばなな /「N.P」
発売日: 1990年12月25日
原作

自殺した小説家の書き遺した97話からなる短編集『N・P』。未収録の98話目を発見し翻訳していた翻訳者も自殺してしまう。その翻訳者の恋人を語り手に、彼女と小説家の子供たちが作り上げるひと夏の物語。近親相姦や人間同士のスピリチャルな関わりなど、社会的規範を超えた幾つものテーマが断片的かつ重層的に描かれていく1990年発表の作品。

原作者:
吉本ばなな

原作者 著者近影: Fumiya Sawa

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『私と街たち(ほぼ自伝)』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

コメント

 若さ

 私が「N・P」を書いたのは、「健康的ではない『キッチン』」を書きたかったからだったと記憶している。自分も若かった。毎晩いろんな人たちと飲み、遊び、そしてあてどなかった。恋人もいたし同棲もしていたのに、この道が穏やかな将来に続くなんて全然思えなかった。
 その中で「しがみつき合わない」人間関係があるということを、肌で知った気がする。
 リサさんはまるでこの小説の登場人物のような人だ。クララさんもそうだ。あてどない感じがする。川村さんもそうだ。この世に川村さん以上にリアルに翠を演じられる人はこれまでもこれからもいないと思う。翠という人物のすごいところは身体能力なのだ、と書いているときも思っていた。だからふつうの人の生活ができないのだ。
 少ない登場人物たちはみな、自分で言うのもなんだけど小説から出てきたような人たちで、乙彦なんて私の書いた人としか思えない。それもみなリサさんのあてどなさ、粘り強さ、イメージする力のすごさなのだろう。
 よくぞここまで忠実に撮ってくれたという感謝しかない。人の心に残る名作だと思う。

吉本ばなな

音楽/ MUSIC

ASUNA

Stacks

Wolf Eyes

クレジット / INFORMATION

原題:N・P/2020年/日本・ベルギー/カラー/4:3/5.1ch/60分/無声、日本語インタータイトル
配給:Voice Of Ghost/コピアポア・フィルム

監督:スピリアールト・リサ

脚本:スピリアールト・リサ

翻訳・ドラマツルギー:マテー・シス

加納風美:スピリアールト・クララ

箕輪翠:川村美紀子

高瀬乙彦:宮村周志

高瀬咲:ヴァン=デ=ステーネ・サールチェ

撮影(日本)

現場監督:黒川武彦

カメラ:足利広

ドローン・カメラアシスタント:吉森崇夫

照明:ブルフ・ハンス=ジュニア

照明アシスタント:坂野充学

撮影(ベルギー)

現場監督:ストルップ・ヴィンセント

カメラ・照明:ブルフ・ハンス=ジュニア

カメラ・照明アシスタント:サヴェルス・ベルト

ポストプロダクション

編集:ヴァン=ワイエンベルヘ・イネケ

スピリアールト・リサ

タイトルデザイン:イブセン・オリヴィエ

サウンドコンセプト:ストルップ・ヴィンセント

フォリー:テイス・オリヴィエ

楽曲提供

ASUNA, Stacks, Wolf Eyes

協力

トーキョーヴィジョン、金沢フィルムコミッション、富山国際大学

協賛

フランダース映像基金、アーツフランダースジャパン、ゲント市、ヴィディスクエア

制作

Escautville (エスコヴィル)
https://www.escautville.org/

スピリアールト・リサ

Lisa Spilliaert

スピリアールト・リサ https://lisaspilliaert.com

1990年東京都生まれ。ベルギー・ゲントの王立美術アカデミー大学院写真科修了。系譜学への強い関心と自伝の物語性を題材とした作品を制作している。
2014年ベルギー西フランダース州美術賞大賞受賞。以来ロッテルダム国際映画祭(2015・2017年)等で作品を発表、2015年にはモノグラフ出版。
長編デビュー作である「N・P」はFIDMarseille(2020年マルセイユ・フランス)で初公開され、Berwick Film&Media Arts FestivalやUnderdox Munchenをはじめ数多くの映画祭で上映された。個展はこれまでBeursschouwburg(2017年ブリュッセル・ベルギー)とBrakke Grond(2022年アムステルダム・オランダ)で開催。
ベルギー・アントワープのプロダクションEscautvilleのメンバーとして現在は新作映画を制作中。

https://lisaspilliaert.com
エスコヴィル

Escautville

エスコヴィル https://www.escautville.org/

Escautvilleは、ベルギー、アントワープを拠点とする視聴覚アートのための制作・配給プラットフォーム。
2011年にアーティストのWim Catrysse、Jos de Gruyter & Harald Thys、Ria Pacquée、Frank Theys、Koen Theysにより設立され、2022年にはLisa Spilliaertがメンバーに加わる。
構成アーティストの視聴覚アートプロジェクトの支援、制作、配給、宣伝を行う組織であり、新進・ベテランアーティストを問わず、多くのゲストプロダクションにも力を注いでいる。
Escautvilleは、ウルリケ・リンドマイヤー(Ulrike Lindmayr)とヴィンセント・ストルップ(Vincent Stroep)によって運営されている。

https://www.escautville.org/